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新たな再生医療状況

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3:新しい再生医療が誕生する可能性

3:新しい再生医療が誕生する可能性

 

再生医療のような「先端医療」が一般医療に進化するためには、現場を預かる「臨床医の信頼」は勿論、「患者(国民)からの信頼と支援」を得る必要がある。

しかし「臨床医」の要求は過酷であり、患者に対する全責任を負う以上、それは当然の姿勢でもある。

安全性と有効性は両者において当然のことで、さらに費用対効果も考慮しなくてはならず、これまでの方法では治療し得なかった病気が治せるなら、費用が多少高くともよいかもしれないが、従来法と大差がないなら、新しい医療技術は受け入れられないだろう。

現状では有効な治療法のない疾患を「再生医療」によって治すことが、本来の『再生医療のゴール』であることを再認識するべきである。

 

これまで幹細胞移植には共通する問題点が指摘されてきた。

① 突発性の疾患(たとえば脳梗塞や脊髄損傷)に大量の自家細胞を準備することができない
② 生きている細胞の安全(たとえば腫瘍化の完全排除)、規格化の困難
③ 高額な細胞培養経費 など

これらの問題が高いハードルとなり、再生医療の実用化を難しくしてきた。

そのような状況の中、名古屋大学大学院医学系研究科において骨髄由来の「間葉系幹細胞」を用いた、約100例におよぶ歯槽骨再生医療のデータ分析から、従来のセントラルドグマでは説明のつかない矛盾点が明らかにされた。

ひとつは、移植した細胞数と再生した骨量がかならずしも比例しないことが報告され、幹細胞が骨再生の主役ならば、細胞数と骨の再生量が正の相関関係でなければならず、さらに新生骨内には移植細胞がわずかしかみられないとのことであった。

これらのことは移植した細胞が骨再生の主役ではなく、主役は別にいることを示唆している。

こうした現象は骨再生のみならず、血管や心筋、脳の再生でもみられ、幹細胞が臓器実質を再生させるのではなく、「幹細胞の分泌するパラクラインファクターが内在性の幹細胞を欠損部に集積させ組織を再生する」のではないか、あるいは「幹細胞分泌蛋白こそが組織再生の主役ではないか」という仮説が信憑性を帯びてきたのである。

つまり、再生医療において「幹細胞移植」は必ずしも必要ではなく、「幹細胞が分泌する蛋白」が重要ということになり、まったく新しい再生医療が誕生する可能性がでてきたのである。

生きている幹細胞移植を必要とせず、「分泌蛋白の投与」のみで再生が可能なら、幹細胞移植に随伴するほとんどの問題が解消され、一気に実用化につながる。

この幹細胞が分泌する蛋白、つまり『幹細胞由来成長因子』は幹細胞移植と同等、あるいはそれ以上の組織再生能をもつことを、名古屋大学大学院医学系研究科では報告しており、それぞれの研究が示す結果は、幹細胞移植だけにとらわれていた研究者にとって大きな驚きであったとも述べている。

また、幹細胞由来の成長因子は、「幹細胞の培養上清」から抽出され「製剤化」することもでき、この製剤は室温でも長期間活性を失うことがない。このことは幹細胞を利用した「新たな創薬の出現」をも意味している。


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